遺言の実質的効力
遺言の形式的要件について日本法か、あるいはグァム法のいずれかでは有効とされたとします。
しかし、遺言書が法律上有効であるかどうかと、有効であるとして実際にどのような効力を有するかは別の判断となります。遺言の実質的効力については通則法36条の規定があり、遺言者の本国法による、とされます。
本件の遺言者の本国法であるグァム法では、Guam Code Annotated: GCAの15章「Estate and Probate」において遺言の形式や効力について規定されている、とのことです。
日本国内の不動産がある場合
遺産として日本国内の不動産があり、遺言書に記載がある場合、どのように相続の手続を進めるべきでしょうか。
不動産の相続に関しては、被相続人の本国法ではなく、その不動産が所在する所在地法を適用する、という考え方がありえます(lex rei sitae)。被相続人あるいは遺言者の本国法がそのことを明確に規定している場合は問題はありません。
例えば日本法では、通則法31条が「物権は、その目的物の所在地法による。」と規定しており、所在地法の原則(lex rei sitae)を認めています。
他方で、グァム州法を含め、はっきりとは所在地法の原則を規定していないこともあります。
日本国内に不動産が遺産として残されており、遺言書でその遺産について指定がされているのですから、その不動産について、日本法と日本の登記手続によって相続を原因とする登記をしたいところです。
しかしながら、遺言の実質的効力は遺言者の本国法が準拠法とされるものの、遺言者の本国法で所在地法の原則を明確には規定していない場合、日本で相続登記の手続を取ることはできるのでしょうか。
遺言者がアメリカ人である場合
遺言者がアメリカ人である場合、アメリカは州で構成されているので本国法は各州法となります。
アメリカは州によっては相続や遺言に関し、所在地法の原則を明記しているところもあるようです。しかし、そのような原則を明記していない州であっても、リステートメントの規定を援用して、アメリカ諸州では所在地法によることが通例である、として、結論として不動産の所在地法である日本法と日本の手続によって、相続登記をするという方法があります。

